15096人が本棚に入れています
本棚に追加
鬼山が言葉に詰まり、狼狽しているのが分かる。
私は優しい声で告げた。
「百合絵さんはおっしゃってました。『人気者の鬼山様なら、私は遠慮します』と……。申し訳ありませんが、今回はご縁がなかったとご判断ください」
ほんの少し沈黙のあと、「わかりました」と鬼山は答えた。
何か文句でも言ってくるかと構えていたが、鬼山の口から苦情は一切出てこない。
それどころか……
「早めに知らせてくれて、ありがとうございました」
とまで、彼は神妙に言ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!