何もかも切なくて

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「店長さんも大変ですね、こんなに夜遅くまで」 「いえ、まだ9時前ですから」 「営業時間を過ぎてるのに電話なんかしちゃってすみません」 「気にしないてください。好きな仕事なのでやってるだけです」 二郎は礼と詫びを言って電話を切った。 事務室は再び静寂に包まれ、今度こそ帰ろうと私は席を立つ。 亜瀬利と細見への連絡は明日だ。 お店の鍵を閉め、外に出る。 真夏の夜風さえも切なく感じられた。
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