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「おう、麗太来てたのか。今日も遅刻かと思った」
「啓一、おまえこそ珍しく遅いな」
「ああ、ちょっと婆さんに道聞かれてさ」
縁眼鏡に整った顔立ち。啓一は初等部からの幼なじみで、高校も同じクラスの古い友人だ。
口数は少ないけど気のいい奴である。
「それより聞いた!?雪女また告られてこっぴどくふったらしいよ!」
ギャル系女子が俺に言う。
「雪女?」
「新崎 塁のことよ!ひどくない?美人だからって調子のりすぎぃ~」
「雪…女ね…」
そう彼女、雪女こと新谷塁は学年一の美少女と名高い。
長身に長い黒髪、色白の肌、切れ長の瞳。
その美貌に憧れて告白する男子は数知れない。
しかし彼女はどの告白にも応じず、人を寄せ付けないような態度をとるため、いつのまにか、その冷たさと美しさから「雪女」と呼ばれるようになった。
そしてその雪女こそが8 年前に見たあの「雪に咲く花」の作者である。
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