彼の色と私の色

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「まだまだ青いな。」 夏休み某日、彼の部屋で勉強している最中俯き加減に、私は今までの心のうちを決心して話したら、そう答えが返ってきた。 続けて彼は言う。 「あのな、それに大学進路今更変えるなんて言うな。」 「私だって……青臭い悩みだってコトくらい分かってる。くだらなくても。」 「ふっ、青春だね~。でも、よくわかってるじゃん。 『恋にうつつぬかしている場合じゃない』いいね~名言だね~。」 「うつつ抜かしている相手があなただというコト分かっている?」 団扇片手に彼が、窓の外を見ながら笑顔で対応するのがとても憎たらしく思えた。 「ほらっ!こんなに悩んで話したのに気持ち分かろうとしない。 こう。私の意見を聞いてさ、少し心変わりとかしない訳?」 「俺はお堅い教師ですから、ちょっとやそっとじゃ心変わりもしないの。 お前の言う、『何にも染まらない白』?ってやつだよ。」 そう言いながら彼は笑って団扇を置いて私の肩を後ろから抱いた。
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