彼の色と私の色

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彼の笑う顔を上目遣いに見て、彼の片眉を下げて笑うこの笑い方が好きだとそのとき、あらためて思ってどきっとする自分が悔しかった。 「いつかこうやってくだらないと思って悩んでいることが、人生においての糧になるものだよ。人生何が一番大切なのかなんて誰にも結局分からないさ、だから勉強するの。 みんな何かを追い求めて生きているんじゃない?」   なんだか最もらしいことを言う彼は、やっぱり教師なのかなって思う。 「でも俺って、確かに黒か白だと白だけど、七色にしたら緑かなっておもうんだよね。」 突然の予想もつかない彼の発言に私は驚いた。 「植物の緑。一番自然でかつ、落ち着く色。心和む目に優しい色。お前の言う俺の表現にぴったりじゃないか。まさに生物教師って感じだな。」 そう自信たっぷりに言う彼は 「お前だって、黒というより、…青い……、群青色。」 と私に向かって言った。
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