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世の中、分からないことのほうが断然多い。
今、私の横にこの人がいることもそのひとつであると思う。
「まき、そこにある俺のネクタイとって。」
気だるそうにそう私に命ずる彼。本当は従うことなんか嫌なのに、それでも、従ってしまう私は物分りのいい女なのかなぁと思ってしまう。
状況が状況だから?
午後8時過ぎ。とある学校の一室。人体模型、鳥やウサギといった小動物の剥製。机の上には重ねおかれたプリント。窓際にはうっそうと茂る気味の悪い植物。その横をカタカタと音を立てゲージの中で走るハムスター、そしてそれを見つめるカエルと熱帯魚。
こんな気味の悪い部屋の仮眠用のベッドの上で彼と二人。考えるのも嫌になってしまう。本当は答えなんか当にでている。
―ここが、彼の職場であり、私の学び舎であるから。―
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