山神峠を越えて

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――キキィッ。 バスが止まった。ドアがゆっくり開く。 「おい起きろ!勇気!」 「ん?…ああ、着いたの…」 「お前がもう着くからって起こしたくせに。お前が寝ててどーすんだよ!」 零は、荷台にあった勇気のカバンを勇気の顔めがけて放り投げた。 「いってぇ!もう少し丁寧に扱えよ…。」 「そんくらいしねぇと起きねぇだろが。お前は。ほら、さっさと行くぞ。」 「ちぇっ、もう少し寝てたかったのに…」 勇気が目をこする。 「あっそ。じゃずっと寝てろ。俺は行くから。」 零は、早足でバスを降りた。 「あ、そりゃないぜ。おい、待てよ!零!」 勇気もしぶしぶバスを降りた。
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