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2人並んで少し歩くと、登り坂にさしかかった。
山の中腹に、白い建物が見えた。どうやら、あれが学校らしい。
「あれだな?麓章の校舎。」
「ああ、そーだな。意外にキレーだな。」
2人は手でひさしを作って、太陽の光を避けながら上を見上げた。
「当たり前。昨年改修工事したんだとよ。学校のサイトに載ってた。」
「へえ。よく知ってるな、勇気。」
零が驚いたように言った。
「下調べくらい常識だろ?知らない方がおかしいっつーの。本当に野球以外に興味ないんだな、お前。」
「ああ、まあな。」
零が少し笑った。
「褒めてねぇよ!」
勇気が突っ込んだ。
「それより、早くいこーぜ。入寮の期限は今日の4時だろ?あと1時間しかないじゃん。」
零が腕時計を指差して言った。そのまま歩き出す。
「ああ、待てよ!零、俺をいちいち置いていくなって!」
勇気もあわてて後を追った。
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