第1楽章~始まりの出会い~

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「気持ちのいい朝ですね。こういう日には、何か新たな出会いがあるかもしれません」 「出会い……ですか?」 「えぇ、以前もこんな朝の日に素敵なティーカップを発見したのですよ。今度、是非お茶しに来てくださいね」 「はい。ではそろそろ授業があるので、失礼します」 「よろしくお願いしますね」 学院長に一礼して、再び歩み始める。ふと、今朝の事務所での会話を思いだし、学院長を振り返る。 「学院長!」 「はい、何でしょう?」 僕が振り返るのを分かっていたように、別段驚いた様子もなく、学院長は振り返った。 「今年の一年生で神曲楽士の資格を取った人がいるって本当ですか?」 「ふむ……ツゲ君は情報が早いですね」 顎に手を当て、しばし考えるような仕草をして、学院長は視線を上げた。 「えぇ、本当ですよ。本人や周りのためにならないので、今は秘密にしてますけどね」 そう言い残して、学院長は去って行った。 やっぱりいるんだ。本当の天才が。この学院に。 「案外、お前の受け持つクラスにいるのかもな。その一年生は」 それまで黙っていたコーティが冗談めかして言ってくる。彼女は学院長が嫌いなのだ。
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