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ちらりとバックミラーで後ろを確認すると、ペルセルテがいってらっしゃいと手を振っているのが見えた。
それにちょっと口元を綻ばせて、僕はハーメルンの速度を上げる。
今日これからあるのはトルバス神曲学院での講師の仕事だ。
神曲楽士の数は絶対数が少ない。なので、神曲学院では、派遣事務所から神曲楽士を雇ったり、専門課程の生徒に基礎課程の下級生の授業を担当させるなどして不足を補っている。
ツゲ神曲楽士派遣事務所は安い料金で神曲楽士を派遣しているので、こういう仕事はよくあるのだ。
僕自信、母校に恩返しが出来るので少し嬉しくもあり、誇らしくもある。
それからしばらく僕は無言でハーメルンを走らせた。
コーティもぼんやりと街の風景を眺めている。
やがて、大きな運河の向こう、丘の上に大きな建物が見えてきた。
トルバス神曲学院だ。
校舎を見る度にあそこで必死になって勉強していた頃を思いだし、懐かしい気持ちになってくる。
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