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運河にかかる橋を渡り、緩やかな坂道を抜けるとようやくトルバス神曲学院の正門が見えてきた。
ハーメルンをそのまま前進させて、神曲学院の敷地に入る。
裏にある職員駐車場に向かうが、僕に気付いた生徒達が挨拶してきたので、こちらも挨拶を返しながらゆっくり進む。
「ふー、やっと着いたか」
停車したハーメルンからひょいっと飛び降りてコーティは伸びをした。
「さてと、行くよコーティ。先生が遅れたらダメだからね」
「うむ」
並び立って校舎に入る。今は休み時間のため多くの生徒が廊下で話をしたり、次の教室に移動するために行き交っていた。
「あ、タタラ先生。おはようございます」
「うん、おはよう」
ここでも挨拶してくる生徒に、にこやかに返しながら僕が受け持つクラスに歩いていく。今日これからあるのは一年生の精霊史の授業だ。
「おや、タタラ君。おはようございます」
「あ、学院長。おはようございます」
廊下の向こうから現れた青年に僕は一礼した。
シダラ・レイトス
最高の神曲楽士、四楽聖の1人にしてトルバス神曲学院の学院長。見た目は青年だが、実年齢はなかりの高齢らしい。
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