夏休み

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乾いた髪の毛を束ね、教科書を開いた机に一人向かっていた。 「私・・・あんなに、瀬戸のこと好きだったよね・・・」 嬉しいはずなのに、何か心の中につっかえるものがあった。 数学の公式を見ていると、数学の得意な瀬戸の顔が浮かんだ。 2年生の時、理科や社会の点数は勝てても数学だけは絶対に敵わなかった。 なんでそんなに数学できるの? そう尋ねるたびに 「数学なんか覚えることないし」 と答えた。 「志望校・・・確か同じだったよ・・・ね・・・」 そう口に出すと、何かがふと頭を過った。
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