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中学3年生の春。
松倉恵美(マツクラメグミ)は水泳部部長として入学式で新入生を迎えていた。
「今年の一年生は大人しそうでよかったな」
恵美の隣に座っていた野球部部長の足立誠(アダチマコト)がそう言った。
「去年も入学式のときはそうだったわよ。段々慣れてきたら悪くなってくるんだって」
呆れた風に恵美は返した。
「なるほどねーまぁ、三年になったら嫌でも大人しくなるよな」
「人によっては手のひら返したかのようにね」
足立は苦笑して舞台に向き直す。
入学式が終わり、一年生は各クラスへ行き、在校生代表の人たちは片付けを済まして体育館を出たら、その他の生徒が既に沢山集まっていた。
しばらく経つと二、三年生にはクラス発表の紙が配られ辺りから甲高い声が飛び交った。
その声を聞きながら恵美も自分の名前を探した。
「あ、あった」
と、思うと同時に去年から仲の良い垣内由紀(カキウチユキ)と田崎圭子(タザキケイコ)の二人が大声で叫びながらやってきた
「めぐちゃーん」
「恵美ちゃん!三人クラス同じだよ!!4組だよ!」
満面の笑みで言う二人に微笑み、恵美は素直に喜びを伝え、教室に向かうことにした。
教室に入れば、知ってる面々が多数いた。
この学校で丸々二年過ごしたのだから、当たり前と言えば当たり前だ。
「あ、恵美!?三年間クラス同じだよー!!」
目が合うなり飛んできたのは三年間クラスが同じの畑中三和(ハタナカミワ)だった。
背の低い彼女は少しボーイッシュだがとても可愛らしい。
黒板を見て自分の出席番号の37を探していつも以上に背筋を伸ばして席についた。
「私は受験生なんだ」
そう自分に言い聞かせて・・・
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