出会い

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瀬戸は恵美に対して優しかった。 何故だかは分からない。 ただ他の女子以上に恵美を慕ってくれてることは一目瞭然だった。 いつしか思いは、好意に変わっていった・・・ ある日、恵美はいつもの帰り道を由紀と帰っていた。 「ねぇ、恵美ちゃん。恵美ちゃんってさ、去年から瀬戸と仲いいよね」 「ん?そうかな?」 「そうだよー去年結構噂たってたよ?」 もちろん恵美もその噂は知っている。 「瀬戸勝と松倉恵美はただならぬ関係だ」という。 「ほら、私と瀬戸って趣味とか合うしさ」 「ふーん・・・でもさ、村越と別れてから瀬戸の話多いよね?」 一瞬ドキッとした。由紀は気付いている。そう感じ、恵美は少しだけ由紀に話してみることにした。 「実はね、ちょっと気になってる…かな」 「やっぱり?そうだと思った」 確信があったようだった由紀は嬉しそうに言った。 「お願い、言わないで」 懇願するように答えた恵美に「当たり前じゃん」と由紀は言ってくれた。 人に話したら、もう自分の気持ちに嘘をつけなくなることは分かっていた。 だから、恵美は今まで誰にも話さなかったのだ。 由紀はその事を絶対に話さないでいてくれた。いつも一緒にいる圭子にさえも。 「最近どう?」 由紀との帰り道の決まり文句になっていた。 「昨日メールしたよ」 「今日学校でしゃべったんだ」 そんな他愛のないことが嬉しかった。 メールで瀬戸はよく「松倉のことは信用してる」とか「明日遊ばない?」と言ってくれたり、いつもは名字で呼び合ってるが、たまにお互いファーストネームで呼び合ったりもした。 「私、このままずっと瀬戸のことを好きなのかな」 恵美はそう心に本気で感じていた。 心移りはしない。本気で決めたはずだった。 そんな心に転機が訪れるとも知らずに・・・
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