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ある日の夜、何気なしに携帯を開くと一通のメールが着ていた
知らないアドレスである
《俺。誰か分かる^^?》
「いや、普通に分かんないから」
丁寧に電話番号まで添えてあるメールを見て何故かそう笑ってしまう
俺、というからには男子なのだろうと勝手に解釈した
〈誰?何でアドレス知ってるの?〉
《山内から聞いた^^》
山内というのは恵美とクラスは別だが比較的仲の良い男子で、軽くうざいところもある。
それでも何故か小学校から仲が良いのはよく分からない。
山内の名前を聞いて数人の名前が浮かんだ
声を聞いたら分かるだろうし、メールでは埒があかないと思ったので電話をかけてみる
「ん?俺が誰かわかったの?」
笑いの混じった声で電話の主は声を発した
「声聞いて分かると思ったけど、全っ然分かんない」
「まぁ、それはそうかな。中学校で俺と松倉、同じクラスになってないし」
「んー…あのね、山内の名前聞いて思ったんだけど。秀じゃない?」
秀、というのは恵美と同じ小学校出身の男子で、本名は結城秀輔(ユウキシュウスケ)だがみんなから「秀」と呼ばれている
「さぁ?誰でしょう?」
くくっ、っと笑う電話の主は疑問系が好きなようで「?」の応答しかしてこない。
「疑問系に疑問系で返さないでよね」
こちらも負けじと鼻で笑ってやる
「そう言わずにさ。焦らず考えてみなよ。じゃあね」
それだけ告げると相手は一方的に電話を切ってしまった
「なーにアイツ。声ちょっと違うかったけど秀だと思うんだけどなー」
そのあと山内にメールしてみたがもちろん答えるはずもなかった
「ま、誰でもいっか」
一人でそう呟きぱたんと携帯を閉じた。
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