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次の日、学校に行って片っ端から男子の声に聞き耳をたてていた
「恵美ちゃんどうしたの?」
さすがに怪しい恵美の行動に由紀が声をかけてきた
「ん、ちょーっとね」
秀輔の声を聞こうと試みたが、中学生になってから一度もしゃべってないわけで、当然クラスも分からなかった。
放課後になって秀輔がサッカー部だったことを思い出し、帰り道に由紀と一緒にグラウンドを覗いてみる。
まだ5月の下旬で肌寒い日もあるが勢いよくグラウンドを走る少年たちは皆半袖の体操服だった。
「あの子ら寒くないのかな」
目が悪い恵美は秀輔らしき人物を見つけるが眼鏡が無い状態ではシルエットしか分からない。
「男子は暑がり、ってよく言うじゃん」
由紀が目を細めて笑いながら言った。
「あ、恵美ちゃん、体育館」
グラウンドに隣接された体育館に目をやると紺のタンクトップを着た瀬戸がボールをついていた。
「へー、瀬戸ってバスケ部だったんだね。恵美ちゃん知ってた?」
「・・・そりゃ・・・一応は・・・」
少しだけ気恥ずかしくなって体育館から目をそむけてしまう。
「ほら、油売ってないで早く帰ろ!」
「え~もう少し見て行こうよー」
「やーだー」
半ば由紀の背中を押すようにして正門をくぐりぬけた。
その日の夜、またメールが来ていた。
一応飽きずに「誰?」と問うてみるが、一向に相手は答えなかった。
「どうせ秀でしょ」
恵美はほとんど確信を持っている。
それから数日間恵美は特に追及はせずにメールを交わしていた。
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