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ローズコレクター。人は私をそう言う。
私が住んでいるのは、総大理石で作られた洋館。その庭園には、赤い、赤い薔薇が咲いている。何種類もの薔薇が咲き誇っていた。
そしてその薔薇が一番よく見える場所にある部屋には、彼がそう言われる所以があった。それは何十にも巻かれていた。
和紙のような、色紙のような、美しい紙で…。
それを一枚一枚剥がしていくと、一冊の本が出てくる。
開いてみると…
「美しい…。」
コレクターは、うっとりとしながら溜め息をついて、
その中の一枚の写真を指でなぞって、今度はなおいっそううっとりと息を吐いた。
「やはり、いまのところ、彼女が一番美しいかな…。」
そうつぶやいていると、
トントントン…
ノックの音が聞こえて、誰かが、いや今日のお客が入ってきた。
「お手伝いの方から、こちらのお部屋と聞きまして。」
「ああ。そうですよ。そこにおかけ下さい。」
コレクターは、ソファーをさした。
お客は、やや緊張した面持ちで、静かに座った。
彼の衣服からは、うっすらと淫靡な香りが漂ってきた。
真面目そうな、まるで教師のような男だったが、
コレクターはそんなギャップには多いに慣れていた。
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