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『正樹・・・
お前いつからそんな下らん意見言う人間になったんや?』
『いつからて・・・・
部長も分かってるはずです!
ヌルい事言うてたら生きていかれへんって猛さんにも言われてます!
今の不景気を生き残る為には、ある程度の無茶も必要やと思ってます!』
『社長の事を下の名前で呼ぶな・・
お前が親戚やからって許される事やない。
それにお前は社長の意思を根本的に取り違えてる。
それは自分自身に甘えてたらそれ以上成長出来へんって意味で言うてる言葉や。
自分らが生き残る為にも、どうしたらええんかもう一度考えてみるんや』
『・・・・・・・・・』
正樹は不満を表情に浮かべながら、目線を下に落としその場を後にした。
『・・・・・・・・・』
(正樹・・・
今は勉強や。
お前が誰よりも猛に貢献したいって思ってるのはよう分かってる・・・
やけどな?
猛は仲間を犠牲にして、自分だけ生き残るって選択肢は絶対に選ばん人間や・・・
そこだけは絶対踏み外したらあかん・・・)
今、リョウは部長として大きなビジネスを任されている。
その仕事を完全に取り入れる事より会社は今以上に安定する。
それ以上に実績が不動のモノとなる。
小さな綻びが致命傷となる事も十二分に理解していた。
この仕事がどれだけ重要な仕事かと言う事も当然分かっていた。
それでも敢えて、入社二年目の正樹という人間に担当を任せた。
そこには、リョウが培った今までの経験が全て凝縮されていた。
今、目の前で納得できない表情をしながら席に戻った正樹を遠目で見ながら、昔の自分とダブらせていた。
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