幼児期~年中時代

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私が年中に上がると、母の実家の青森から伯母が来ました 母が長期に渡り、入院することになったからです 父は私に 「ママは少し体が良くないから、お医者さんのところに住むんだよ」 と、言ってきたのを今でも覚えています その時はただ泣きじゃくり、母と離れたくない気持ちでいっぱいでした 母が入院してから 私の家の家事、保育園の送り迎え等は伯母がしてくれました 母と会えるのは週に一度 土曜日のみです 私は土曜日がとても好きになりました 母は入院してから私を一度も抱きしめてくれませんでした でも、それは体が悪いから仕方ないと幼いながら感じ取っていたつもりでした ある時、私が伯母と保育園から帰ってきたら父は泣いていました 声をあげて 何度も私に謝ってきました 私はどうしたらいいかわからず ずっと、泣きじゃくる父を見つめてるだけでした 後々、理由を伯母から聞くと 「パパはね、ママがユキを抱っこしないことに怒ってママを叱っちゃったんだよ」 今更ですが たかが年中で4歳の私には理解できませんでした 母は寝たきりなので、私を抱っこできるハズがない その事実を私は幼いなりに無意識に自覚していたのかもしれません 母が入院してから1ヶ月が経ったある日、私は母を見てビックリしました 母の右胸がなくなっていたのです 母は乳ガンでした 「ママ、お胸とっちゃったの?痛くなぁい?」 そんな言葉を放った気がします 母は悲しそうな笑みを浮かべてました 母の手術から1ヶ月が経ち、退院の許可が出ました 「今日、ママ帰ってくるからね」 伯母から言われた言葉に 私は跳ね上がって喜びました 意気揚々と父の運転する車に揺られて母のいるガンセンターへ 母は入り口で白衣を着た男の人と待っていました 私は母に抱きつきました すると、母は私を約4ヶ月振りに抱っこしてくれたのです 私は母に抱っこされながら病院を出ました 母はその日からずっと家にいました 保育園の送り迎えも母と一緒 私はとても嬉しくて幸せでした 伯母は安心した様子で青森に帰って行きました しかし、その幸せな日々もそう長くは続きませんでした .
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