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君は空想好きだ。
ときどき何を考えているのか解らないことがある。
それと、君は中原中也の詩集が好きだったね。
いつも持ち歩いて少しでも暇があると読んでいた。
夕日の射し込む教室で、詩集を読みながらいつも空想していた。
僕にはよく解らなかったけれど、空想している時の君の横顔はとても綺麗だった。
まるで、そこに絵画か陶器のオブジェでも置いてあるみたいだった。
僕はそんな君を見るのが好きだった。
しかし君は、いつの間にか僕の前から姿を消してしまった。
あぁ、愛しき君よ。
貴女は今も尚、中原中也の詩集を読みながら空想をしているのですか?
もうすぐ僕も君の元に旅立ちます。
空想好きな君の、あの横顔にもう一度出逢えることを願って…
fin.
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