第1章・二人の王女誕生

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~ミカエルの視点~ ん~やっぱり、こっちが王女の器っていうか、魂だよねぇ… じゃあ、女王が産んだ方は…なんなんだ? わからん!さっぱりわからん! セイさまがまさか圧縮した球体を落とすとは…ありえないドジ…しかも、理性知性の方が辺境の惑星に行くなんて… まぁ、とりあえず、あの母親は王女さまを育ててくれそうだし、印を付けときますか。 母親のあとを気づかれないようつけていたミカエルは、王女に惑星空間ワープができる【首飾り】を外れないように魔法で、つけた。 ふと、王女と目があった。 【あ り が と う】何かを察知した王女は口をそう動かした。 ミカエルは驚いた。自分が尾行しているのに気づいていたこともそうだが、首飾りが何なのかもわかっている口ぶりだと感じたからだ。 さすがというべきか… 【また くるね】とバイバイと手を振り、セイさまのもとに飛び立った。 ~ミコトの視点~ 母親が私を抱いて走っている。 産後直後は動いてはダメなのではないか? しかし、あの状況では仕方ないか… 私は、自分の記憶を振り返る。 白髭の老人が、【わたし】を作っていたのは記憶にある。さらに下に落とされて、激痛が走ったのも(苦笑)とんでもない神さまがいたものだ。あまりに痛くて、とっさに丸くなった。そしたら飛び散る勢いに流され転がっていた。 【わたし】のパーツの残りが神さまの手でどこかに運ばれているのがちらっと見えた。 【わたし】はここにいるのに!と叫びたいが、圧縮された意識体ではなにもできない。 仕方ない、と流れに身を任せることにした。 しばらくして、とても温かい場所で目を覚ました。 どうやら誰かの胎内らしい。 眠い…少し寝よう。 しばらく日にちが経ち、胎内で自分の姿を確認できた。手や足が動かせる!パタパタと動いてみる。 すると、外から声がした。 「あなたっ!いま赤ちゃんが動いたわ!」 「なにっ?!」 なにやら騒がしい… パタパタとまた動く。 「ほんとだ!動いた!すごい!」 【嬉しい】という感情が臍の緒を通じて伝わる。 あぁ、ここは…心地好いな… 【わたし】はお腹の中で、いろんな情報を聴き続けた。 まさか、生まれてすぐ存在を拒絶されるなんて予想していなかった。
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