憂鬱

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「わかってるよ。 でも、『虹の羽衣』の情報なんて 誰よりも先に知るのは 相当難しいんだから。 『秀族』にでも依頼すれば?」 「よく知らない奴の情報は当てにならねえからな。 そもそも『秀族』は ウソツキ集団じゃねーか」 『秀族』。この名は最近になって 主に裏社会で有名になっている。 彼らは十数人の小さな団体で ありながら、 やることのスケールが巨大で、 世界政府機関も警戒しているほど。 しかし、ほぼ全員性格が悪い事も有名だった。 そして奇妙なことに、彼らは全員同じ顔をしていると言う都市伝説がある。 「ボチボチやってくよ。 手配書くれ」 「気を付けてね。 軍最高エージェントの一人が ここ最近目撃されてたからね。 巻き添えにならないように」 「『デスウインド』エージェントが、か?なかなか物騒だな」 「とはいえ軍直属なんだから 一般人に手は出さねーだろ。」 ジャムソンはぼやきながら 喫茶店に入った。 適当に食事を済ませる。 本当に適当だから栄養バランスはまるで考えてない。 食後のコーヒー(ブラック)を 啜っていると、 後ろの方から馬鹿でかい声がした。 「すみませーん!!店員さーん!!」 「やかましいわマヌケ」 緑髪の男が叫び、少し地面が揺れた。 でかいだけではない。 地属性の魔力でも持っていれば 説明はつく。 巨大な声を出したはずみで 地属性の魔力が溢れ、 地面に何らかの影響を与えた。 こんな風に、だ。 まあそれ以外に考えられないが。 「えっと、ここのパフェ、 9個とあとこのケーキ7個ね!」 虫歯になれバカ、と呟いて コーヒーを飲み干した。 「そんなに食って大丈夫か?」 「大丈夫だ、問題ない。 それにさ、これから狙う賞金頭は 6億でしょ? 気合入れないと」 店内がざわめいた。 6奥の賞金頭(たぶん賞金首)。 脱獄した死刑囚並だ。 それに挑もうとする、 緑髪の馬鹿と黒髪の、 こちらは賢明そうな男。 「声がでかい………」 「ごめんねっ!」 「もういい。黙って食ってろ」 「はーい」 するするとパフェを食っていく。 六億を狩る者としては あまりにもアレな奴だった。 「おこぼれ狙うか」 角砂糖を口に放り込み、 ジャムソンはくっと笑った。
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