出逢いは月明かりの下。

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それはいつのことだったのだろう。 今の私はもうロクに覚えていない。でも、たぶん、あの時の私には大切だった出来事。 私は、幼なじみのA君に、告白された。 高校三年生の夏休み。灼熱地獄の甲子園。暑さを物ともせずに繰り広げられる青春の闘い。 A君の所属するチームは甲子園出場すら絶望的な弱小だった。 そう、3年前までは。 A君がうちに入ってから、全てが一変した。 A君だけじゃない。チームみんながA君に調和していくように何もかも変わった。 3年後には、B校は優勝候補にまで成長していた。 そして私も彼にいつの間にか惚れていた。 たぶん、彼にとって私は幼なじみ以上の特別な存在ではない。でもそれで良かった。 言い訳なのかもしれないけど、彼と友達でいられなくなってしまったら、何もかもが壊れてしまいそうで怖かったから。 ――そんな頃だった。準決勝戦の前日、みんな一緒の馬鹿騒ぎも終わって、夕焼けが照らすA君と二人きりの帰り道。私はA君に告白された。
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