第一章 地獄からの声

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「失礼しまーす…」 ジョナサンはサカキの研究室に入った。ちなみに研究室に入るまでに10分程抵抗した。勿論遅刻だ。 「お、来たねぇ」 コンピューターを操作しながら眼鏡をかけた40代の男性がジョナサンを出迎えた。彼がペイラー・サカキ。アラガミの研究をしている。 「どうしたんだい?君としたことが666秒も遅刻じゃないか」 「何て不吉な数字だ…。いやちょっと覚悟を決めるのに時間がかかりまして…」 この“覚悟”というのは「病室送り」になる覚悟だ。 「ん?何の覚悟だい?そんな事より君にお願いがあるんだ」 「…新作ジュースの試飲ですか?」 「いやいや」とサカキは手を振った。とりあえず病室送りは免れたジョナサンはほっとため息をついた。 「本当は『熱血パッション』を制作しようとしたんだけどツバキ君に見つかってね、やむを得ず中止になってしまったよ」 残念そうに顔を伏せるサカキと対象に、ジョナサンの顔は輝いていた。 「──本題に入ろう。君にはアラガミのコアを取って来て欲しい。それもオウガテイルのコアだ」 「オウガテイル?何で俺が?そんなのアネットやフェデリコにやらせればいいじゃないすか。先週入ったイクトにやらせてもいい」 大型アラガミのコア回収なら納得するがよりによってオウガテイルのコア回収を極東支部が誇るジョナサンに頼むとは何かの冗談としか思えない。 「確かに君に取って簡単すぎる。というより何か裏があるんじゃないかと思っているだろうね?心配しなくていい。目標は間違いなく普通のオウガテイルだ。偵察班もそいつと遭遇したけど全員無事に撤退出来た。だが…問題はオウガテイルじゃないんだ」
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