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それは四本の腕を持ち、太鼓腹の人間の体に象の頭をしたアラガミだった。こんなアラガミは今まで見た事が無い。恐らく新種だろう。
それよりジョナサンは別の事を考えていた。
(アラガミが…喋った!?)
『オナカスイター!ジョナサン!ゴハーンゴハーン♪』
かつて極東支部にはシオというアラガミの少女がいたがシオの見た目は普通の女の子と変わらなかった為喋っても驚きはしなかった。
神ニ歯向カウトハ…。アノ赤髪ノ小僧ト同ジ目ニ遭ワセテヤロウ!!
アラガミは四本の腕を使って印を結ぶ。二本の腕は正面に、もう二本の腕は天に突きつけた。
するて手のひらから炎の渦が現れジョナサンに向けて放たれた。
それは皮肉にも綺麗な渦だった。
だが見とれているとこの世とお別れする事になってしまう。
「はっ!」
ジョナサンはバックステップを連発し何とかかわす。
炎には当たってないのに凄い熱気だ。あの熱さじゃ人間なんてあっという間に蒸発するだろう。
避けている内に足を躓いてしまいしりもちをついてしまった。
「チッ!マズったな … 」
アラガミは急降下して来て大きく口を開いた。このままでは奴に喰われてしまう。
「くそっ!」
ジョナサンはポケットからスタングレネードを思い切りぶん投げた。グレネードは空中で爆発し、眩しい閃光と耳をふさぐ程の破裂をが発生する。
グォォォォォォ!人間メェェェ!!
アラガミは叫び声を上げ、動きを止めた。僅かだがこれで少しは時間が稼げる。
ジョナサンは神機を持ち直して撤退した。
「『死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ』か…」
ジョナサンは前に自分が言われたセリフを繰り返した。
ひとまずジョナサンは教会の中に逃げ込んで座り込んだ。
「喋るアラガミね…。サカキ博士に言ったらなんて顔をするかな?」
ヌゥ、教会ニ逃ゲ込ンダカ。祈ル神ハイナイト言ノニドウシテココヲ選ンダ?
また頭に声が響いた。先ほどのアラガミの視力が回復しジョナサンの後を追跡してきたのだった。
「ふ…なぜ教会を選んだかって?それはな……」
ジョナサンは立ち上がり剣を突きつけてこう叫んだ。
「──てめえが天国に逝くか地獄に逝くかすぐわからせる事が出来るからだよ!!」
地面を蹴って高く飛ぶ。ジョナサンは剣を振り下ろし、アラガミの牙を切りつけた。ガリガリッ!と削れる音が鳴り、片方の牙が結合崩壊する。
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