第二章 北米からの転属

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「くどいぞアリサ。後は私達に任せろ。いいな?」 「…わかりました」 そんなアリサの肩に手を乗せてツバキは微笑んだ。 「リーダーの心配をする気持ちはわかる。だが今のお前を見て、ジョナサンは喜ぶか?違うだろ?」 「……はい!」 ツバキは頷くとまた厳しい教官の顔になり、「早く持ち場に戻れ!」と言って2人をエレベーターに向かわせた。 「――よし病室に入るぞ」 ツバキの後ろをついてきた人物が頷いて病室に入る。沢山の白いベッドが並んでいたが寝ているのはジョナサンだけだ。 身体に包帯を巻かれ、腕にチューブが繋がれていた。彼を診ていた医師は、 「身体のダメージも大きいですが一番ダメージが大きいのは脳です。現在彼は昏睡状態なので起きるのはいつになるのか…」 と言っていた。ツバキはベッドの横に立って言った。医師では無く連れてきた人物に向けてだが。 「本来は寝ている患者を無理に起こすのは禁止されているが…。ジョナサンには悪いが話を聞いて起きたい。新型神機使いのお前なら触れると感応現象が起きるらしい」 ここに来て初めて『新型神機使い』は口を開いた。 「感応現象…ですか」 その声は男で赤髪をしていた。右目には眼帯をしていて、もう使い物にならない事を表していた。 「後は任せたぞ。新型同士、仲良くやるんだぞ」 ツバキは病室から静かに退室した。病室には赤髪の男とジョナサンが残された。
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