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それはある日振り落とされた悪夢。
まるで現実味のない突然。
だけど何度瞼を見開いても変わらない本物。
・・・真っ白な壁に覆われた異質の空気が溢れる病院の一室で、
僕らは声を知らない人形のように、ただ浴びせられた言葉を飲み込むことに戸惑った。
理解など出来ないまま・・・
悪夢は現実世界を支配していく。
「胎児が急激に弱ってきています。すぐに入院をして頂いて検査と治療を始めましょう。場合によっては普通分娩では母体にも影響が・・・」
――――――・・・頭が・・・
真っ白になった。
医者の言葉が音を無くした。
口がただパクパクと動いているだけで、
自分の呼吸音すら耳に届かない。
ただ心臓だけが、暗闇に呑まれながら鈍く叫んでいた気がした。
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