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その叫び声は仕事が終わってから面会に来た、とある日の午後7時頃。
間もなく終わる面会時間。
慌ててたどり着いた病室の前で耳にした。
わけがわからず扉を開けると、
看護婦さん達に腕を捕まれている桜さんが居た。
いや、多分正確には、
暴れる桜さんを必死に抑える看護婦さん達。という図だと思う。
「芹沢さん!落ち着いてください!まだそうなったわけじゃないんだから!」
「大丈夫ですから!頑張りましょう!ね!?」
婦長さんまで駆け付けて、必死に説得しているその中で、
桜さんは泣きじゃくりながら叫び続けた。
「離してよぉっ!どうせもう助からないんじゃない!!これ以上堪えられないのっ!」
―ドクンッ・・・
「苦しませるのは嫌なのっ・・・お願いだから!楽にさせ・・・―――――」
「桜さん!!!」
心臓が 外に出たがってる。
苦しくて、痛い。
「・・・か・・かな・・でく・・・」
僕の震えた呼び掛けに、桜さんや周りの看護婦さん達が動きを止めてこちらに目を向けた。
目には涙を溜めて、
鼻は酷く赤くなり髪も乱れたまま・・・
桜さんは僕を見つめながら
更に瞳を潤ませた。
でも・・・
ごめん。
「―――――――・・・聴いてるよ。」
僕、今・・・悲しいくらい
怒ってる・・・。
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