*06..カラフルスカイ*

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「赤ちゃんが・・・聴いてるよ。今の桜さん、見てる。」 静まり返る病室の中・・・ 僕の鼓動はただ鋭く身体に突き刺さる。 「!・・・っか、奏君までわかったように言わないで!そんなわけないじゃない!・・・私・・・私のっ・・・私のお腹で死にかけてるのよ!?」 「でも今生きて君と繋がってるんじゃないか!!!」 「・・・っ!!」 何があったか 僕にはわからない。 あの桜さんが不安と絶望に覆い潰される程、 もしかしたらよくない宣告を受けたのかもしれない。 でも・・・―――――― 「桜さんの全部・・・桜さんのなかで見てる。僕らには見えない痛みや苦しみも、その子にだけは見えてるんだよ。」 人 は いつだって独りぼっちだから。 どれだけ愛し合い、支え合い、 理解し合おうとしたって限界というものがあって。 それはどうにも出来ないし、仕方のないこと。 何故なら身体ひとつにつき、命もまたひとつしか与えられていないからだよ。 いくら隙間なく愛せても 隙間なく理解することは出来ない。 桜さんの心の一粒まで、感じ取ることは僕にも誰にも出来ない。 ただひとつ・・・ 君と繋がる命を除いては。 「・・・一人で、呼吸も出来ない・・・掌程のその子だけが、君の全部を共有してるんだ。」 「・・・っ」 「君と生きてるその子はまだ、"諦める"ことを知らずに必死に君のなかで呼吸をしてるんじゃないか!その子は・・・っ"生きる"ことしか知らないから!だから今も君にしがみついて頑張ってるんじゃないか!!君が諦めようとしてどうするんだよ!!?」 「だって!!・・・だっ・・・て・・っ・・・それでもっ・・・これ以上・・はっ・・」 ――――――・・・神様が人間に新たな命を預ける時、 その命には"生きたい"という本能だけを埋め込み、そして放つ。 だから・・・母体という居場所に守られる、まるでちっぽけなその存在は 自ら死を選ぶことはない。 いや、出来ない。 "生きたい"という、ただひとつの人の能に従っているからだ。
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