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「目の・・前って、壁?」
「うん、塀の中。俺が居るとこが学院の敷地内!」
・・・って、
だいぶ前から塀は続いてましたけど。
え、全部?
「・・・えっ、マジで!?」
「マジマジ!あ!中入る!?も少し進んだら"開かずの扉"があんねん!開けたるからそこ行って待ってて!」
「え、ちょっ・・・」
勝手に話を進めるそいつは、俺の返事を待たずに姿を消した。
・・・よくわからんが・・・
『あ・・・開かないから"開かずの扉"なんじゃないのか?』
小さな疑問を抱きつつ、言われた通り足を進めると本当に扉があった。
あまり人通りの無い場所で鉄の扉は古錆びていた。
もうずっと使われていなかったようにも思える程、葉に覆われ赤茶けている。
扉そのものも古くからあるだろう。
随分昔に付けられたものかもしれない。
・・・あからさまに"開かずの扉"っぽい。
―ガチャンッ・・・
・・・・・・え。
―ギィィッ・・・・
「よいっ・・しょ!っと、お待たへー♪入り♪」
「自宅か。」
「え。」
・・・しまった。
ついうっかりツッコんでしまった。
初対面なのに。
「あ、いや・・・つか"開かずの扉"だっけ?開くんだ?」
「退職した管理のおじぃに、内緒で鍵譲り受けてん♪世界にひとつしかないねんで!俺、おじぃが初めて認めた男♪」
「へぇ。」
「まぁ決め手は幻のAVやな!」
「買収じゃねーか。」
「え。」
・・・俺の馬鹿っ!
つーか癖ってこえー!!
「あ、いや・・・すんません。」
相手の奴も相当馴れ馴れしいが、俺のもだいぶ馴れ馴れしい。
失礼極まりねーよな。
俺が顔を背けながら気まずそうにしていたその時。
「ぶっ!あっははは!!」
突然そいつが大口開けて笑い出した。
いきなりなんだ。
「えぇなぁあんちゃん!♪俺そゆのめっちゃ好き!!♪」
「はぁ・・・。」
要らなく好感度がアップしてしまった。
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