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「俺、南田那智!15歳!親しみを込めて"なっち"って呼んでくれてえぇよ♪」
呼ばねぇよ。
「そっちは?♪」
「・・・芹沢響。歳は同じ。」
なんでこんなとこで野郎と自己紹介し合ってんだ。
「なんて呼んだらえぇかな?ひーちゃん?」
「絶対呼ぶな、呼んだら死なす。」
絶対おちょくってんだろ。
けど那智とかいうその男は、
初対面の俺に対しても軽々と懐に入ってきた。
その人懐っこさに驚きはしても不快感を感じることは無く、何故か俺はそのままそいつに連れられて意味も無く散策を始めていた。
「ここらへんはあんまし人けぇへんから、女の子と逢引きしたなったらオススメやな。まぁちょいと草が元気に育ってもうてるけど。」
「・・・別に逢引き場所の下見にきたわけじゃないけど。つか俺のこと勝手に入れちゃっていいわけ?」
俺からしたらこいつが怪しいが、この状況じゃ俺のが怪しい気がする。
「だって響、今年の編入生やろ?日曜は警備室通らなアカンから面倒やし。あとえぇ男やし。」
ちゃっかり呼び捨てだし。
いいけどさ。
「ってさっきも思ったけど、南田ってバイなの?」
「せやから"なっち"やって。」
「アンタって変態なの?」
「色々降格してもうたな。那智で妥協したるわ。それと基本的には女の子にしかムラムラせぇへん。」
「基本的とか言わないでくんない。いきなり身の危険感じるから。」
こいつと居て大丈夫かな、俺。
「響えぇ男やけど怖いからアカンわぁ。も少し可愛いげあったら考えてもえぇけど。」
「・・・。」
「冗談やて。そない引かんといて。」
素早く3メートル離れて目を背ける。
「野郎のそういう冗談は吐き気催すから口縫っといてくれる?」
「・・・響て口悪いねんな。」
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