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「言っとくけど、俺この世界嫌いだから。溶け込むつもりも無いし。」
小さく吐いた溜め息はもはや諦めのサイン。
それに対して那智が嬉しそうにまた笑った。
「あはは!うん!俺はそうゆうほうが気楽でえぇよ!♪坊ちゃん嬢ちゃんは息つまりそうやし退屈やねん!」
・・・少しは共通するものがあるのかもしれない。
会ったばっかなのに、なんださっきから漫才みたいな掛け合いは。
でもそれくらい那智は、ちょっとすごくかなり変わってはいるけど邪険にしきれない不思議な奴。
「せや!今度学校始まる前に街案内したるわ♪」
「え、マジで?激安のスーパーとか?」
「・・・最初のチョイスそれ?えぇけど。ほんなら商店街も行こうや。連れてったるよ。」
「あ、それ助かる!やっぱ那智とは友達なるべきだな!」
「打算的!?ちゅうか現金やな!しかも理由ちっちゃ!」
「ほっとけ!」
雲はまるで自由で、綿菓子みたいに柔らかい。
だからか?
傍でさ迷ってても気にならない。
ふと気付けば俺の中に入り込んでくる。
そしてそれは嫌にならない。
「あ、あの雲の形おもろい。」
「なんか綿菓子みてー。」
「意外にも発想が可愛いな響。俺にはう○こに見えてしゃーない。」
「・・・顔とのギャップ半端ねぇな。」
「モテる筈やな。」
「要素がくだらねぇよ。小学生か。」
―――・・・この時は気付くわけもない。
なんとなく繋げたこの関係が
自分にとって必要不可欠なモノになる事も。
手放したくないから
面倒な事にさえ踏み込む自分が居る事も。
直感も信じてみるもんだな、なんて
思い出して笑う未来も。
「よっしゃ響!まずはコンビ名から決めようや!♪」
「"まず"ってなんだ。文法変だろ。つかコンビ?」
「お笑い帝国よし○とで頂点目指そうやないか♪」
「安月給だから嫌。」
「笑いは金ちゃうで?」
「米でもねぇからな。」
「夢ないやっちゃなー!」
「夢だけで食ってける程世の中甘かねーんだよ!」
「真面目か!!」
「真面目だ!!」
・・・ただ・・・
コンビを組んだという自覚は
この時もその先も毛頭無いけどな。
~END~
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