その1

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昨日スゲエ暑かったわけなんだが、外に出なきゃならん用事が出来てさ、ゾンビみたいに徘徊してたわけよ。 で、道端に腐りかけのマグロみたいにだらーんとゴッツイ大男の 兄ちゃんが三匹座り込んでたのな。(白人弐黒人壱) おそらくはどっかの米軍基地方面から流れてきたんだと思うんだが、 なんせ暑いじゃんよ。バテてたらしいのな。 他にも普通に木陰に他の日本人の皆さんが、ゆるゆるな感じで座り込んでたんだが、 なんせ暑いじゃんよ。手に手に近くの店のカキ氷を持っていたわけさ。 兄ちゃん三匹は最初皆がなに食ってるかよく分かってなかったらしいのよ。 で、だらーんとしてるなりに気になってたらしくて、遠目でチラチラ見てたのよ。 そこに俺も暑いもんでだるーくそこの店に行って、ハワイアンブルーの デカイ方頼んだわけだ。店のオバチャンがカキ氷作るためにシャリシャリ機械で 削り始めると、それ、氷なの?冷たいんだね(・∀・)?! と分かったらしくて俺の後に並ぶ兄ちゃんたち。 俺の後でwktkでイチゴとレモンとメロンを頼む兄ちゃんたち。 何となくその場にいた奴らも兄ちゃんたちをぼんやり見てたのな。別に観察してたわけじゃなくて、あー外人がカキ氷頼んでるなーくらいの気持ちだったと思う。 で、三人木陰に腰を降ろして、ものすごい幸せそうな顔して、スプーン大盛りで、 おんなじ動作で、おんなじ利き手で、おんなじタイミングでパクッと食ったわけよ。 で、おんなじタイミングでキーンと頭が痛くなったみたいで、 おんなじタイミングでオオウ……とこめかみを押える三人。 それ見てた奴らが全員同じタイミングで顔を伏せて、同じように肩を震わせ始めた。 黒人のあんちゃんがオーマイカ゛ッとか小さく呟いてるのが俺の距離なら聞こえてくんのよ。 それ同じように聞いたらしいカップルの肩の揺れが大きくなってもう爆笑寸前の危機だった。 多分その場にいた全員がすげえ勢いで和んでたと思う。 昨日一日、そのこと思い出すと吹き出しそうになって、我ながら挙動不審だったと思う。 でもクソ暑くてイライラしてたのがその兄ちゃんたちのおかげで一日愉快だったよ。 ありがとう兄ちゃんたち。
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