3人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「ええ、そうよ。あの子は、わたくしのことをよく知りぬいているもの。わたくしの気に入りそうな客は、彼の気に入る客。そうやって、わたくしの気に入りそうな客だけを選びだし、わたくしの前へと通す」
女が、豪華な椅子に気怠げに凭れかかる。
シャリン、
髪飾りが揺れた。
「さぁ、貴女は何を望むの? 富? 名声? それとも――、」
膝に置いた手を、ぐっと握った。
身を乗り出すようにして、アタシは言った。
腹の底から、呪われてしまえ、と熱い熱い憎しみの言葉を。
「アタシの……アタシのことを売った男――、彼を探してくださいまし」
最初のコメントを投稿しよう!