独白。小さな歪みの願い。

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でもね、 "どうしても、許せないのですよ" どうか捕まえておくんなまし。 あの憎き男を、 女は、ふぅっと煙を吐き出す。 すらりと長い指で摘んだキセルを、カンッと鳴して灰を捨てると、口許に僅かな笑みを湛える。 新しく上りはじめた白煙が、くらりくらり、脳を侵してゆく。 ――では、貴女はもし、その男を見つけたならば、いったいどうするというのです? "それはもちろん、罰を受けてもらいます。あいつはそれだけのことをしている。女の敵――社会の屑なのですから" 女は、うっすらと目を細め、ただ一言、「そう、」とだけ呟いた。   …… ……
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