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感覚に霞みがかかったようにぼんやりとしている。
私の目の前にはとても深く暗そうな森があった。まるで私を飲み込んでしまいそうな大きく開いた森の入口。
ここは良く知ってる場所だ。
体は言うことを聞かず、ただぼんやりと私は森を眺めている。
これは……夢……?
私がそんな結論に至っていると足が勝手に森へと前に進み出した。
一歩。また一歩と森が近づいている。すると後ろから誰かに肩を捕まれた。
「どこへ行こうとしてたんですか? ミント」
夢の中の私は振り返る。
あ、お母さん……
そこには少し怒った顔のお母さんがいた。
「いい? ミント。この森の奥には家があって、そこには魔法使いが住んでいるの。だからこの森に入るのはおよしなさい。その魔法使いに捕まってしまいますよ」
そう言ってお母さんは私の大好きな優しい笑顔になる。
これは……昔の記憶? 何で今更こんな夢を……
「……ント!」
あぁ、そうだ……
「……ント!」
今日はそういえば……
「ミント!」
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