75話

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思えば3年前のあの時期が、人生の中で最も充実していた気がする。 だから、終わりもここなのだ。 ポケットから鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。 よかった、どうやら鍵は変えられていないらしい。 足音を殺し、寝室に忍び込む 天井を見上げると丁度よい感じの梁がある。 踏み台を持ってくると、そこに上り梁に縄をかける。 あくまで今の住人を目覚めさせないように静かにだ。 …私は思い出していた。 3年前のあれは、幽体離脱でもただの夢でもなかった。 あれは、予   ガタン ギシギシ
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