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ガチャリとあみの部屋のドアが開いて大きい影がアタシの行く先にのびた
「おお」
アタシよりも先に驚いた声が聞こえて、アタシはその声に立ち止まる
「さきちゃん、おかえり」
こっちを見て微笑んだ加賀見とうまが立っている
「え?あみは??」
「下に行ったよ?会わなかった??」
そういってアタシの肩先に目線を移動させると、彼の顔から笑みが瞬時に消えた
アタシは慌ててカーディガンを羽織りなおすと「ごゆっくり」と早口で述べると彼の横を早足で通り抜けようとした
「ちょっとちょっと!!」
加賀見くんの軽い声が聞こえてアタシのカバンをつかまれた
「それ何?」
「それって?」
アタシの答える声にかすかに怯えがこもっている
「その肩の怪我、何?」
怪我といわれて、アタシは彼から目をそらすと肩を押さえた
隠すために髪を指ですいて肩口にかけた
「ちょっと、ぶつけて・・・・」
「何にぶつければそんなあざになるわけ?」
逃がさないようにカバンから手を離さないから、アタシも逃げれない
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