SICK 1

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アタシは素直に右手を差し出さずに彼の顔を見上げて、再び周囲を見渡した キレイに手入れされた花壇や芝生が続いている 見える範囲に人はいないけど・・・・ 戸惑うようにうつむいて視線を左右に動かした 差し出した右手をひっこめるタイミングをなくして気まずい空気が流れるのかと思ったけど 「うわさどおりだ」 意外なセリフを投げかけられた 「うわさ?」 思わず繰り返す 「さきちゃんの彼氏って、堀内まことって人っすよね?」 アタシは答えずに彼の顔を見返した 「その人が1回生の時に付き合ってた彼女がものすげー暴力受けてたって」 「え?」 思わず聞き返す 「他の男と話してるだけで殴られたりして、別れるのも命からがらだったって・・・・」 「うわさだよ」 否定する言葉が少しうわずった 「そう?じゃあ・・・・」 そう言うと彼はアタシがベンチについていた右手を取って握手をすると「話しかけても無視しないでね」と笑って言った .
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