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給食のときにそれは起きた…
"ガヤガヤ…"
「給食係から皆さんに報告ですが、今日、田中さんが風邪で欠席のためデザートのティラミスが一つ余りました。欲しい人は手をあげて下さい。」
"おい!ティラミスが余ったってよ!!俺貰おうかな…"
"ばか野郎!ジャンケンになるに決まってんだろ!そんなことしてる暇があったら早く食ってドッジボール行くぞ!!"
"ちεちん!!おσぱい!"
"うωこ!!"
※小学生ってこんな感じかな?
「……………。」
「ねぇ、ねぇ?太田くんは貰いにいくんでしょ?」
隣の席の関口さんが太田に聞いた
「…うん。たとえジャンケンになったとしてもね…。」
「…そうだよね…」
太田は手を合わせ、目を閉じると小さな声で囁いた
「…今日、風邪で休んだ田中さんとウイルスに感謝…。頂きます。」
「…………。」
―――
"ザワザワ…"
"おいおい!太田と小谷がティラミスをかけてジャンケンするらしいぞ!!"
"どっちが勝つんだ…"
「…ティラミスを貰いに来たのは僕と太田くんの二人だけか…」
"ザワザワ…"
「……ずいぶんとギャラリーが増えちまったな…」
「…そうだね、太田くん。彼らは君の負ける姿を見にきたのかな。言っておくが僕は毎日ジャンケンの練習をしている。ジョギング、腕立て、腹筋、背筋…。ここ数年一度も欠かしたことはない…。この前、SASΟKEのファイナルステージまでいった僕に素人の君が勝てるかな?」
「…ご託はいい…。僕は負けないよ…。こっちは風邪で休んだ田中さんの想いも背負ってるんだ…」
「……ふっ…強気だね…」
「……ティラミス…取ります…」
"…ごくり…"
「…あっ…そうだ…。太田くん…僕はチョキを出すよ…」
"ヒュー…(風の音)"
「……………。」
まさか…
これからチョキを出そうとしている人間が"チョキを出す"なんて言うはずが…
"ニヤリ…"
落ち着け…
動揺したら相手の思う壺だ…
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