ささやかなこの気持ちを

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「えっ……」  絶句した。里実の机上に、花を添えた花瓶があった。  イジメ、ではなさそうだ。数人が目を赤くして泣いている。突然のことに悲しんでいる。そんな雰囲気だった。  まさか、そんな。草介は急いで職員室へと戻った。 「校長。ひ、平坂になにがあったんですか!」  校長は静かに息を吐き、口を開く。 「交通事故だ。塾の帰り道に、道路に飛びだした子供を助けようとしたんだ。幸い、子供は無事だったが、平坂さんは……」  校長は首を横に振った。それから彼を見て、詰問した。 「何度も連絡したんだが、つながらなかった。きみはいったい、なにをしていたんだ?」  草介は答えあぐねた。幽霊と話していました、なんて言えるはずがない。その代わりに、聞き返す。 「それより、いつ事故があったんですか?」 「昨日の夜だそうだ。七時ぐらいだったと聞いているが」
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