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語りかけるように、彼は言葉をつづける。
「あの夜。俺のところにきたのは、自分の気持ちを伝えるためだったんだな」
しかしあんなことで。俺なんかに告白するだけで、未練を捨て切れたのだろうか。もっと未練はなかったのか……。わからない。草介は静かに目を閉じ、考えることをやめた。こんなふうに自分が悩んでいると、また彼女がくるような気がしたから。
「安らかに眠ってくれ、平坂。……いや、里実」
優しく伝えるように言い、彼は教室をあとにした。
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