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人々は、みな穏やかな性格の持ち主らしい。この事件は、笑いごととして片づけられた。
村の人々が寝静まった、その夜。空には雲一つなく、満月が美しく輝いていた。その光の下に、不審な影があった。
「う、うがががが」
苦しげな低い声をあげながら、昼間の少年がわなわなと震えていた。次第に体が大きくなり、全身から黒茶色の剛毛が生え、頭からは巨大な三角耳が出てくる。鼻は鋭く尖り、四角い歯は恐ろしい牙へと変わった。
「さあ、今夜はたっぷり食うか」
ペロリと舌なめずりし、オオカミ少年は牧場へと向かった。
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