421人が本棚に入れています
本棚に追加
葬式が行われた。喪服の人々が棺に花をおさめていく。そして泣きながら叫ぶ。
「バカヤロー、勝手にいきやがって!」
「あたしはどうすればいいのよ!」
「ちくしょー、もっと生きててくれよ!」
そんなようすを見ながら、葬儀屋がつぶやく。
「ああやって、みなさんから惜しまれるとは。あのかたは、よっぽど偉大なことをしたんだろうな」
「おや、あなたは事情を知らないのですか?」
それを聞いた参列者が口をはさんだ。
「ええ。なにをしたんですか?」
「とんでもないやつですよ。あちこちから借金をした挙げ句、自殺しやがったんだ。そのせいで、貸した人はみな大赤字だ」
最初のコメントを投稿しよう!