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「課長!」
野太い声がオフィスを揺るがす。課長は顔をしかめ、両手で耳を塞ぐ。しかし、声は割りこんでくる。
「わが社もエコ活動をすべきです。このままだと時流に乗れず、とり残されてしまいます!」
机をバンバンと叩き、唾を飛ばしながら、モーレツな部下は熱弁した。
「きみ、そうムチャを言わないでくれ。だいたいそんな余裕はないんだ。わかっているだろ?」
課長が、なかばうめくように言った。
それでも部下はあきらめない。声を強める。
「しかしエコ活動をはじめたことによって、他社の業績はうなぎ登りです。わが社もエコ活動を行えば、きっと」
「だから」
「時代はエコを求めているんです! 課長、なぜそれがわからないんですか!」
部下は語気を荒げ、顔を真っ赤に染めた。肩で息をしはじめている。
それを見た課長は溜息をつき、
「あー、もう。暑苦しいったらありゃしない。わかった、わかった。エコ活動すればいいんだろ?」
「はい!」
「じゃあ、きみ、明日からこなくていいよ」
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