真実は一つ

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「僕の予想だと、家出をした女を心優しい弟が家に泊まらせてあげることにした。だが、引きこもりだった兄が女を襲った。止めることのできなかった弟は「帰りたい。」という女の言葉を聞いた後はどうする事も出来ずにいた。そして、女が死んでしまった事で兄は首を吊ったって事ですかね。」 「でもそれじゃあ、何故あんな都市伝説が広まったんですか?」 「きっと圭一が広めたんですよ。誰かに相談しようとしたが、大好きな兄を傷つけたくない気持ちもあったのでしょう。女をどうにか助けてあげたいと思ったのも事実でしょう。あまりにも大きな傷が圭一の心に出来たのは間違いありません。今回の都市伝説は悲しすぎますね。」 そう言って宗士は珈琲をすすった。 「事件の事は何だかわかりましたけど、何故あの子と会っただけでそんなに分かったんですか?」
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