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「…はぁっ…イチカっ」
息を切らしながら、ハルはアヤカの腕を取った。
「待ってって…はぁ…」
二人は、車が行き交う橋の上で立ち止まった。
車のベッドライトが、二人を照らしていく。
「…イチカ…。」
勢いよくハルの手を振り払うと、
「諦めるんでしょっ!追いかけてなんか来るなっ!」
イチカはまたズンズンと歩き出す。
「イチカっ」
ハルの声にも振り返らず、イチカは青信号が点滅し始めた横断歩道を渡ろうとしていた。
「イチカっ!」
腕を引かれ、ハルの腕の中へおさまった後ろを車がタイヤの音を鳴らしながら左折していった。
「…ちっ…ぶねぇな…。」
ハルは、イチカの頭の上でため息をついた。
「お前もちょっと、気をつけ…」
イチカは、ハルのダウンジャケットを握った。
「…バカハル。」
「ふーっ………ごめん。」
ハルはイチカを強く抱き締めた。
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