little 5

11/26
前へ
/145ページ
次へ
『あ?』 携帯の向こうから聞こえる龍之介の声が、明らかに動揺している。 「だからっ、何か聞いてない?」 アヤカが泣きそうな声で、龍之介に言った。 拓は、開くことのない龍之介宅の玄関をガタガタと揺らした。 外から見ても、中は暗く人のいる気配がない。 「お昼に会ったんだけど、なんか言いたそうにしてたんだよね。龍之介は何か思い当たらない?」 携帯の向こうから、焦った溜め息が聞こえる。 『……もしかして…』 「え?」 『とりあえず、思い当たるとこに行ってみるから、お前達はもし紗奈が戻って来たら連絡をくれ。』 「えっ?あっ龍之介っ!……切られた。」 アヤカは溜め息を漏らすと、拓を見上げた。 「大丈夫だよ。龍之介に任せとけ。」 拓はアヤカの頭をポンポンと撫でた。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

971人が本棚に入れています
本棚に追加