971人が本棚に入れています
本棚に追加
『あ?』
携帯の向こうから聞こえる龍之介の声が、明らかに動揺している。
「だからっ、何か聞いてない?」
アヤカが泣きそうな声で、龍之介に言った。
拓は、開くことのない龍之介宅の玄関をガタガタと揺らした。
外から見ても、中は暗く人のいる気配がない。
「お昼に会ったんだけど、なんか言いたそうにしてたんだよね。龍之介は何か思い当たらない?」
携帯の向こうから、焦った溜め息が聞こえる。
『……もしかして…』
「え?」
『とりあえず、思い当たるとこに行ってみるから、お前達はもし紗奈が戻って来たら連絡をくれ。』
「えっ?あっ龍之介っ!……切られた。」
アヤカは溜め息を漏らすと、拓を見上げた。
「大丈夫だよ。龍之介に任せとけ。」
拓はアヤカの頭をポンポンと撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!