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「…で、それから進展はあったわけ?」
アヤカは紗奈の髪をいじりながら、ハルに目線を落とした。
「…聞くな。」
ふてくされるハルに、アヤカと紗奈は顔を見合わせた。
決意の朝から一週間。
ハルは何かのお芝居かのように、雨の日も風の日も…イチカパパを訪問し、呆気なく門前払いの日々を送っていた。
「まぁーイチカは、お嬢様だからな~。うちらとは、育ちが違うし…」
「うちらって言うな。」
ハルが、グイッとビールを流し込む。
「…大丈夫?ハル。」
心配そうに顔を覗き込む紗奈に、無理やり口の端を上げて、
「…おぅ。心配すんな。お前は二週間後には、大事な結婚式が控えてるんだから。」
「…うん…。」
ため息をつきながらタバコをふかすハルに、紗奈とアヤカは眉間に皺を寄せた。
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