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「…ハル?」
ハルは呼ばれた声に振り返った。
「どうしたのっ?…大丈夫っ?」
公園のベンチに座ったまま、一夜を過ごしたハルの目の前に、眉間に皺を寄せた紗奈がしゃがみ込んだ。
「…あれ…?…紗奈。もう朝か…。」
うっすらヒゲをはやしたハルは、腕を伸ばして背伸びした。
「…一晩、ここにいたの?」
「…ん?あぁ…みたいだな。」
「みたいって…どうして。」
ハルは立ち上がり、腰を伸ばして曲げた。
「何時?」
「…7時半…過ぎ。」
「あー…やべ。
…龍之介、送ってくれないの?大学まで。」
「今日は、出張で早朝から出掛けた。」
「…なるほど。」
紗奈は、憔悴しきったハルの姿を不思議そうに見つめた。
ピリリ…ピリリ…
ハルが携帯を取り出し、耳に当てた。
「…はい。」
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